Yu Hara | Works

原游「顔」

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  • 展覧会:晴れたら市原、行こう アートいちはら2015
  • 開催期間:2015年5月2日~5月6日
  • 会場:旧里見小学校/千葉

「顔」
私は、「顔シリーズ」と呼んでいる油絵を2004 年から描いてきました。
ここに展示してあります油絵が、そのシリーズにあたります。木枠にキャンバスを貼って油絵を描く際に、キャ ンバスを多めに余らせた状態で貼ります。その余ったキャンバスを折り返して、髪の毛に見立てるというのが「顔 シリーズ」の特徴です。つまり、絵の中である顔と、はみ出た髪の毛は一枚の布なのです。
この部屋の一番奥に飾ってあります最も大きい顔の絵「ZUKIN ちゃん」は、髪の毛の部分も頭巾の部分も、や はり顔とつながった一枚の布です。髪の毛の部分は、布の横糸を抜いて、縦糸だけを残しています。その部分を 三つ編みにしたり、ゴムでまとめています。
この「顔シリーズ」は、「絵が自分で勝手に生生をはじめたらどんなことになるだろう?」と思って作った絵です。
おもちゃが夜に動き出すように、絵からにょきにょき髪の毛や耳が生えてきたら面白いのではないかと思いまし た。レンブラントの絵から猫耳が生えてくるのを想像したら楽しいです。
もうひとつの顔は、変身のワークショップで作った顔シールです。舞台化粧用の絵具で赤や青の色を塗り、また 日用品をかぶり、貼付けたりして、顔を装飾したところを写真に撮り、シールにしました。色とりどりの丸い顔 がドット(水玉)になり、有機的な装飾壁ができあがります。
このワークショップの1 回目は、「Color Face Dot ー自分やーめたー」(2013)というタイトルでした。自分 という歴史を少しやめて変身するというテーマでした。その続きの2 回目のワークショップでは、自分を複数化 しよう!という呼びかけでした。
きっかけは、舞台用の化粧に興味を持ったことです。「とてもカンタンにできるよ」とお店の方に教わったので、 濃い茶色を顔に塗り、肌の色を濃くしてみました。ほんの1 分ほどで別人のような私になりました。その時に何 かがぐらぐらと揺れたのです。それは自分だと思っていたものが、一瞬でずれてしまったぐらぐらです。下の写 真がその時のものです。その感覚をワークショップで感じて欲しいと思ったのがはじまりでした。
舞台用の化粧で顔をペイントすると、終わった後に落とすのが困難なので、その場ですぐできるワークショップ として、2 回目は日用品を使って変身することにしました。すると、今度はぐらぐらした感覚ではなく、造形の 面白さがまさってきました。無限に変身を続けられるような気がしてくるのです。
今回は、油絵の顔とリアル変身顔のシールを一緒に展示してみました。すると意外にも2つの顔は似ているよう に感じました。

  
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